バスキュラー手術/合併症対策
バスキュラー手術
血液透析を行うには、患者様と透析機器とで大量の血液をやり取りする経路が必要です。患者様の体に造設するこの経路をバスキュラーアクセスと言います。バスキュラーアクセスは別名シャントとも呼ばれ、一般的には動脈と静脈を直接つなぎ合わせて作成されます。
血液透析患者様にとって、バスキュラーアクセスは命綱と言えるものであり、QOL(生活の質)向上のためにも、「どれだけ長持ちさせられるか」がとても重要な問題です。そのため、透析患者様が健やかな透析生活を送っていただけるよう、当院ではスタッフ一同バスキュラーアクセストラブルの早期発見・治療を心がけています。早期発見のための取り組みの一つが、チェックリストなどを活用した日々の管理です。シャント造影やシャントエコーを定期的に行うことで、シャントトラブルの早期発見に努めております。
もしもシャントに問題が発生して治療が必要になった場合は、カテーテル治療(シャントPTAや血栓除去など)や外科的手術など、症状に応じた処置を行います。
- 1.シャントPTA
- 先端に風船(バルーン)のついたカテーテルを膨らませることで、シャント内の狭くなった部分(狭窄部)を拡張する方法です。何度も行うことができる、シャントを長持ちさせるために有効な治療方法です。(PTA:経皮的血管形成術)
- 2.血栓除去
- シャントは血栓で詰まってしまうことがあります。しかし、現在では多くの治療用カテーテルが開発されているため、手術せずにカテーテルから直接血栓を吸い出したり溶かしたりすることで治療が可能です。
- 3.シャント手術
- カテーテル治療では治療不可能なシャントやシャント感染など、緊急の治療が必要な場合は手術を受けていただけます。
合併症対策
合併症の予防から治療まで総合的にサポートします。
透析を受けている方は、一般の方に比べて全身の動脈硬化や免疫力の低下など、病気になるリスクを数多く持っています。
当院では透析患者様の合併症を早期発見・治療するための定期検査に加え、透析運動療法や人工炭酸泉治療、栄養指導、認知症対策などのきめ細かなケアも行います。
透析運動療法
透析を受けている方は、筋量・筋力が透析をされていない方の半分程度に低下しているといわれています。
筋量・筋力の低下を防ぐため、継続的な運動を促進しております。また,透析中に運動を行うことにより,透析効率を改善させ,生命予後を改善させる効果が期待されます。
人工炭酸泉療法
当院では人工炭酸泉による治療を推進しています。
炭酸泉治療は血液循環の改善に大きな効果があり、足浴により末梢動脈疾患(PAD)患者の下肢切断率の低下や予後改善に貢献しています。また,透析中の血流を長時間改善させる炭酸ガス治療にも積極的に取り組んでいます。
栄養指導・栄養相談
透析と上手に付き合っていけるよう、持続可能で過度にならない程度の適切な食事・栄養のサポートをしています。
徹底管理した透析液の清浄化
質の高い透析には、高度に清浄化された透析液(ウルトラピュア)が不可欠です。当院では臨床工学技士による定期的なエンドトキシン測定等により徹底した透析液の清浄化を管理しています。
定期検査・高度な専門医療機関へのご紹介
年間スケジュールを立て、検査を受けていただきます。検査結果に問題がある場合は、グループ内外の医療機関のより高度な検査・治療に繋げることで、早期発見・早期治療に努めています。